芥川龍之介考(邪宗門)

 芥川の所謂王朝ものの中でも邪宗門はひと際冴えていると思う。

 しかし残念ながら、この作品は未完成だ。

 地獄変の続編として書かれた、この作品の冒頭部分は堀川の殿様の壮絶な最期を生きいきと記述している。

 それは生前の様々な悪業の数々を想像するに充分である。

 平安中期の貴族に幅広く信じられていた陰陽道に対し庶民に浸透していた仏教、その一派と思われる怪しい男 麻利信乃法師。

 彼は摩利支天を広く流布せんと町の辻に立ち説法する。

 しかし芥川の記述では実際の摩利支天ではなく「キリスト教ではないか?」と思わせる部分が多々ある。

 ところで摩利支天といえばJR御徒町近くに有る徳大寺だが、この寺電車(山手線・景品東北線)からは見えるのだが歩いて、その場所に行くと寺は無い。

 私は芥川の小説で興味を持って何度か上野で降りて探したが見つからなかった。

 それもその筈、この寺はビルの屋上に有るから道を歩いていても分からない。

 (ちなみに私は向かいにあるカバン屋さんで通勤カバンを買った事がある)

 本題に戻ろう。

 陰陽道と仏教の対決

 そういう図式が見え掛けたところで、この小説は唐突に終わる。

 「…一には書肆(本屋さん)の嘱により、二には作者の貧によるのである…」

 そう芥川は弁解するが本当のところは頭の中で繰り広げられる様々なストーリーの展開を如何に説明するか?

 という命題に突き当たったのではないかと思える。

 芥川の作品の殆どは難しくない。

 たとえ奥底に深い思想を孕んでいても極力平易な表現に腐心しているし作品のフレバーには殊更気を遣う作家でもある。

 だから一部の知識人だけが理解でき楽しめるものではなく広く一般大衆に受け入れられるように努力した。

 堀川の若殿様が「応。」と麻利信乃法師に声を掛けるところで終わる、この作品の続編を是非書いて欲しかった。


蜘蛛の糸





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芥川龍之介全集〈第4巻〉あの頃の自分の事 蜜柑

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